「消えたカラヴァッジョ」を読みました。

 2001年に忽然と現れたカラヴァッジョの「キリストの捕縛」を発見するまでの、実話です。フィクションではなく、実在の人物のインタビューから読み物になっています。
若い女性の探索はどきどきしました。後半になって、絵が発見され、真贋を突き止めるところなど大変興味深い話です。この内容でフィクションを作れば、もっともっと面白いと思いますが、実在の人物(ずるいところなどもあります)の織り成すさまが面白いし、イタリア人とイギリス人の違いなども楽しめます。
 ローマから「消えた」のは殺人を犯したカラヴァッジョではなく「キリストの捕縛」という絵のことでした。英文の題名を見ればそうとわかりました。

 新発見にはいろいろな欲望が渦巻きますが、ワトソン、クリックの二重螺旋ほどではなく、案外さわやかに読めます。これは著者のやさしさの現れでしょうか。